御曹司は優しい 音色に溶かされる

「いいんだ。俺の方こそお礼を言いたいよ。
ここに来るまで嫌なことがあって
ふてくされていたんだ。
君のピアノを聞いて気持ちがスーッと凪いで
いくようだった。
今晩は気持ちよく眠れそうだ。」

「一番うれしい誉め言葉です。
皆さんの邪魔にならないように、でも、
私のピアノで優しい気持ちになって
もらえたら嬉しいなって、そんな思いで
弾いているんです。」

ゆりえは、千隼の据わっている所から一つ
スツールを開けて浅く腰かけた。

とても美麗な男性だ。

長いまつげが切れ長の形のいい目を
縁取っている。

幅も図ったように左右対称のくっきりとした
二重瞼が美しい。

男性だけど美しいという表現がぴったりくる

所作も品があってグラスを持つ指が長くて
爪もきれいに切りそろえている。

背筋をすっと伸ばしてグラスからお酒を飲む
姿勢も美しい。

ゆりえは手フェチで彼のグラスを持つ手を
つい見惚れてしまいそうだ。

ワイシャツの腕をめくってネクタイも
外している。

シャツから見える腕は筋肉質でグラスを
口元に持っていくたびに腕の前腕部の筋肉が
動くのが、セクシーでゆりえは目のやり場に
困る。