御曹司は優しい 音色に溶かされる

それを見ていた早苗の両親は笑っていた。

「おじさんゴメンね。娘の早苗より先に
私とバージンロードを、歩くことになって
申し訳ありません」

「何言ってるんだ。
父親の役割をさせてもらえてこんなに
うれしい事はないよ。
早苗の隣りを歩けるのは何時になるか
分からないしね。
ゆりちゃんはうちの娘みたいなもんなんだ。
ほんとにうれしいよ。
幸せになるんだよ」

早苗の父親はそう言って相好を崩した。

それを聞いていた早苗はすこしむくれて

「どうせ私は行き遅れになりますよ。
結婚しないかもしれないし…」

そんな子供みたいなことを言う早苗が可愛い。

その時扉にノックの音が聞こえて、
千隼が顔を出した。

オフホワイトのフロックコートは背の高い
千隼にとても似合っている。

こんなに素敵な新郎は他にはいないだろう。

髪も今日はオールバックにして端正な顔を
全開している。  

早苗は口をポカーンと開けて千隼に
見惚れている。

「ほら、早苗。馬鹿みたいに口開けてないで、
お邪魔虫は退散するぞ。
千隼さん今日はおめでとうございます。
ゆりちゃん教会の方で待ってるよ」

早苗の父親はゆりえと千隼にそう言って、
早苗をせかして三人で出ていった。