御曹司は優しい 音色に溶かされる

ゆりえにそう言われて千隼はウオークイン
クローゼットに行って着替えてきた。

ラフなブランド物のスエットもモデルの
ように着こなしてしまう千隼だ。

まだ見慣れないゆりえはそんなことにも
ドキドキしてしまう。

今日は初めて二人でほんとの意味で夫婦に
なるというのにゆりえの心臓はそれまで
持つだろうかと心配だ。

千隼は今日まで、ゆりえの気持ちが整うまで
待ってくれていたのだ。

キスまでは経験したが、ゆりえが泊って
一緒のベッドに寝ても千隼はキス以上は
しなかった。

バラの花もテーブルに飾られて豪華な食卓に
なった。

千隼はゆりえの料理を美味しい美味しいと
言って食べてくれる。

ゆりえは祖母の料理を手伝って教えて
もらったりしていたので、煮物が得意だ。

おふくろの味というよりおばあちゃんの
味なのだ。

でも基本、料理は好きなのでレシピがあれば
結構上手に作れる自信はある。

千隼はゆりえが料理が上手だと知って喜んだ

毎日のことなので奥さんが料理上手なのは、
幸運だと言ってくれる。

千隼の買ってきたケーキも、
とても美味しかった。

有名店のケーキなのできっとずっと前から
予約してくれていたのだろう。

そんな千隼の優しさが嬉しい。

本当にこんなに素敵な人が、明日から
ゆりえの旦那様なのだ。

まだ夢を見ているような気持ちで、いつか
夢から覚めてしまわないか不安になる。

でも今目の前にいるのは西條千隼その人だ。

ゆりえそう意識を切り替えた。