御曹司は優しい 音色に溶かされる

”チルアウト“の意味はリラックスして
過ごすとか楽にしてとかまったりする、
という意味らしい。

インフォーマルな言葉なのだが英語の筆記体で
書くととてもかっこいい。

ゆりえはこのバーの意図するところを想い
ゆったりとくつろいでもらえるような曲選びを
している。

最後のステージが始まる十時前に千隼が現れた。

この頃よく最終ステージに間に合うように
来てくれる。

そしていつもドリンクをおごってくれるのだ。

最後のステージの後は、軽いアルコールの
カクテルをユウジに作ってもらうこともある。

今日も千隼の隣に座りウオッカベースの
モスコミュールをユウジが作ってくれた。

これはとても飲みやすくアルコール度数も
低いので、あまりお酒を飲まないゆりえにも
抵抗なく飲める。

千隼はそんなゆりえを優しく見つめながら
いつものジントニックを飲んでいるのかと
思ったら、

「今日はノンアルのシャンパンにしたから、
送っていくよ。」

そういう千隼にゆりえは少し驚いて

「いいですよ。
千隼さんお仕事の後でお疲れでしょう。
タクシーチケット出してもらえるから
大丈夫です」

「今日は地下鉄やJR線もなんか事故や
トラブルが重なって九時過ぎから
運休してるよ。
だからタクシーなかなか来ないみたいだ。
さっき下でもベルキャプテンがタクシー
がなかなか来なくて困ってたよ。
だから、今日は俺に送らせて」