御曹司は優しい 音色に溶かされる

千隼の滞在中も彼の運転で時間があれば
あちこち二人で行くことができた。

ロスは車がないと本当に移動に困る街なのだ

今は千隼とは毎晩十一時にビデオ通信を
しているので、毎日顔を合わせる事が出来て
いて、寂しさは半減されている。

でも、何かの拍子にどうしても会いたく
なってしまうのは、どうしようもなくて
そんな日は悶々として眠れなくなってしまう。

丁度日本では朝の七時ごろ千隼は出勤前の
時間になるのでゆりえは今日一日の
出来事を話す。

そして、千隼は今日の予定や早苗や西條の
両親や優太と恵子のことを教えてくれる。

そんな風に仕事の後一日の終わりに千隼の
顔を見て話ができるとほっとする
ゆりえだった。

でも、千隼はゆりえの感情の変化に敏感だ。

千隼がゆりえに、今日は元気がないけど
何かあったのかと聞いてきて、ゆりえが
会いたくて会いたくて辛いと言って
泣いてしまった時は、その二日後には
たった一日ゆりえと過ごすために、ロスに
飛んできてくれた。

なので、ゆりえは絶対そんな情けない顔は
見せられないと心に誓ったのだった。

千隼の仕事の邪魔をしているうえに
強行スケジュールで体調も心配だ。

千隼はゆりえがボストンにいた2年の間に
何度かそんな強行スケジュールでゆりえの
顔を見るだけの為に、何度か来ていたので
全然苦じゃないと言った。

ボストンに比べればロスの方が断然移動は
楽なのだ。

今はこうしてゆりえを腕に抱けるのだから
帰って癒されると平気な顔をしていた千隼
の溺愛モードには言葉もなかった。