御曹司は優しい 音色に溶かされる

それから三年夢中でやって来た。

学業と日々の生活に精一杯で、庭の手入れ
まで手が回らなかった。

庭の野菜は全滅し辛うじて強いお花は今でも
咲いてくれる。

水やりだけは何とか頑張っていたのだが、
そろそろ雑草抜きとお花の植え替えも
したいと思っているのだが、ピアノの
ステージのバイトが入ってそんな時間も
なかなか取れない。

早苗は相変わらず週に何度か寄ってくれる。

早苗はゆりえにとってかけがえのない存在で
心の支えなのだ。

千隼の事も相談できるのは、早苗しかいない。

ただゆりえを揶揄っているだけかもしれないし、
男性との恋愛経験もないゆりえでは千隼には
太刀打ちできない。

ゆりえのステージは週に三日で高級ホテルの
最上階のバーは客筋もよくバイト代も条件も
すごくいいのだ。

作曲の学科ゼミの先生が紹介してくれた。

代々先生のお気に入りで実力のある生徒が、
ここのバイトを紹介されるらしい。

それだけでゆりえはうれしかった。