御曹司は優しい 音色に溶かされる

ゆりえは早苗から友人代表としての
スピーチの代わりにピアノの演奏を
頼まれていた。

少しは話をしてからにしてよねと
早苗には言われていたが、こんな沢山の
人の前でスピーチなんて無理と
言ったのだが、許してもらえなかった。

ゆりえは自分の出番が回って来るまで
緊張で食事ものどを通らなかった。

隣の千隼がコンクールやコンサートでは
大きな舞台で堂々と演奏する癖にこんな
小さなパーテイで緊張してるなんて
おかしいと言って笑っている。

そういうけどスピーチが嫌なのと言ったら、
じゃあスピーチは俺がするから演奏だけ
すればいいと言ってくれて、それも
どうかと思ったけど、それなら助かるかも…
というと、すぐに司会者の所に何事かを
伝えに行った。

そして、ゆりえの出番の時には西條夫妻と
紹介されてしまった。

やられた。

外堀を埋めるのが上手な策士だと言う事を
失念していた。

千隼はゆりえをピアノまでエスコートして
座らせるとゆりえと早苗のエピソードを
ちょっと泣ける話や笑える話題も上手に
織り交ぜてスピーチをしてくれた。

さすが西條グループのCEOだ。

しっかりと皆の心を見事に掴んでいた。

最後にゆりえの経歴を少しだけ紹介して、
ゆりえにバトンタッチした。