御曹司は優しい 音色に溶かされる

早苗はそんな父親の背中を追いかけて
弁護士になると言っている。

裁判官じゃないのと突っ込むと
私は人を裁けないもん、
守るほうがいいのと言った。

三年前ゆりえを親身になって助けてくれた
早苗らしい。

彼女も今は法学部の学生だ。

家が近いので、しょっちゅうゆりえの家に
来ては泊っていく。

早苗の部屋があるくらいだ。

何も持ってこなくても着替えからメーク
道具など、必要な物は何から何まで
置いてあるのだ。

法律の本までそろっている。

ここの方が勉強が捗ると早苗は言っているが、
ゆりえを心配して来てくれているのを
知っている。

音大の合格祝いに祖父母はゆりえに内緒で
グランドピアノを買ってくれていた。

葬儀の終わった翌日突然グランドピアノが
配達されてきて、ゆりえはびっくりした。

祖父母のゆりえへの深い愛情に号泣した。

その時初めてゆりえは思いっきり泣いた。

それまで気を張っていたのだろう。