御曹司は優しい 音色に溶かされる

「ふ~ん、じゃあビバリーヒルズかゆりえの
お気に入りのアナハイムの海岸の近くに
家でも買う?
そこで住もうよ。
仕事もやりやすいし、ゆりえの作曲の環境も
ここよりずっといいよ。
ニューヨークでミュージカルの仕事が来たら、
マンハッタンの僕のフラットもあるしね」

「なんで、一緒に住む前提なの?
意味わからない」

「まずは千隼との離婚を成立させないとね。
ゆりえの親友の弁護士に依頼したら」

人の言うこと聞いてやしない。

「はあ~っ、ジョシュは私と千隼さんの事に
首突っ込まないで、関係ないでしょう。
それに早苗はどっちかって言うと
千隼さんの味方よ。きっと」

「なんだそれ、なら僕が離婚訴訟に強い
弁護士を雇うから、心配しないで」

「なんで離婚することになってんのよ」

「えっ、だってゆりえはもう離婚している
もんだと思ってたんでしょう。
離婚届にサインして家を出てきたって
言ってたよね」

「それは、子供のことで誤解があったから…
もし真実を知っていたら離婚までは
思わなかった。
二年間お互いに離れて冷却期間を置いた
ほうがいいと思っただけなんだもん。
とにかくジョシュのことは友達としか
思ってないからね。
男としても見てないよ」