御曹司は優しい 音色に溶かされる

でも、早苗には連絡しなくてはきっと心配して
いるだろう。

千隼もジョシュも部屋に引っ込んでくれたので、
ゆりえはキッチンの片付け後にシャワーを
さっと浴びて早苗に電話した。

スリーコールで早苗は電話に出てくれた。

開口一番
「ゆりえ、東京に着いた?今、家?
寂しくない?
寂しかったら今から行こうか?」

「早苗、何言ってるの。
結婚式は明後日でしょう?早苗こそ今どこ?
実家じゃないよね。
もう二人の新居にいるんだもんね。
会いたいよ。
もう今日は何が何だか頭が沸騰しそうだよ」

「千隼さん早々行動起こしたの?
結婚式の後にしたらって言ったのに、
待ちきれなかったんだね」

「早苗は知ってたの?二年前の事、
子供は翔太さんの子だって事も…
まだ離婚届けも出していないって
知ってたの?」

「うん、ゆりえがボストンに行って二カ月位
した頃千隼さんがうちの事務所に
訪ねてきたの。
話があるって言われて、事務所の皆の手前
追い返すわけにかなくて話を聞いた。
正直いまさら何言ってんだって思った。
でも彼とても落ち込んでいてやつれてた。
ゆりえがボストンで音楽の勉強したいって
言ってるなら、応援するって言って何も
言わないでゆりえを待つって言ったの。
私にもゆりえには何も言わないでほしいって、
ゆりえが帰ってきたら自分の口からきちんと
伝えたいって言ってた。
それがけじめだと思うって、ゆりえの実家は
自分が管理していつ帰ってきてもいいように
しておくとも言ってたよ。
ゆりえは実家に帰って来るだろうからって
ピアノの調律もきちんとやってもらってた。
掃除も月に一回ハウスクリーニングを
入れてた。
布団も干してシーツも洗ってもらってた
らしい。
そういえば雨漏りもあったみたいだよ。
業者入れて壁のクロスも張り替えてたよ。
家ちゃんと綺麗だったでしょう?
私も時々空気の入れ替えに行ってたけど、
いつもきちんとしてあった。
私が使ってた部屋もベッドだけにして、
残りは引き上げたんだ。
彼と住むようになったときにね」