御曹司は優しい 音色に溶かされる

千隼は冷たい目でジョシュを見ていたが、
ゆりえに食事を一緒にどうかと言われると、
うれしそうに目を細めて蕩けるような瞳で
ゆりえを見てにっこりとほほ笑んだ。

ゆりえはドキッとして二年ぶりに見る千隼の
美麗な顔に釘付けになった。

ジョシュが
「ゆりえ顔が赤いけど熱ある?」

と言って額に触れようとすると、
すかさず千隼が

「俺の妻に気安く触るな」

と言って、ジョシュの手を払いのけた。

ゆりえは急いで作りかけの料理を仕上げた。

小さな丸テーブルにピアノの椅子を
持ってきて何とか三人で座る。

食事の間も二人はなぜか火花を散らして
いるようだ。

ジョシュは恋愛対象が男性なので、千隼を
好きにならないか心配だったが、
そんな心配は不要のようだ。

反対に天敵の様に睨み合っているのだ。

ゆりえはため息をついて

「ねえ、二人とも睨み合ってないで
ご飯食べてよ」

「でも、ゆりえ離婚したって
言ってたよね。
なんでこいつ俺の妻って
大きな顔してんの?」

ジョシュは納得いかないというように
千隼をじと目で見ている。

「だから、離婚はしていない。
ゆりえは今でも俺の妻なんだよ。
黙ってさっさと食べろ」