御曹司は優しい 音色に溶かされる

千隼はすぐに両親に二人を引き合わせて
西條の実家の離れの翔太の住んでいた家に
二人が住むように説得し、その準備を
整えたところでマンションに帰ってきたが、
ゆりえはもうマンションどころか日本にも
居なかった。

千隼は絶望したが、ゆりえがボストンに
留学を決めたのならそれを応援しようと
思った。

でも、帰ってきたらゆりえを必ず取り戻すと
決めていたと言った。

だから、今日ゆりえを迎えに来たのだと…

そして、驚くことにこの家を管理して
くれていたのも冷蔵庫に食材を満杯にして
くれたのも千隼だったのだ。

雨漏りまで修理してくれていた。

その件に関してはお礼を言ったが、
腑に落ちないことも多い。

例えば今日帰ってくる事をどうして
知ったのか、ジョシュの名前も知っていた。

その時、ジョシュが

「ゆりえ、腹減った。死にそうだよ。
ご飯食べようよ」

と言ってきた。

千隼とは日本語で話していたのでジョシュは
内容が理解できていなかっただろう。

二人がリビングのソファーに座って
話している時、ジョシュはダイニングの
小さな丸テーブルの椅子に座ってスマホを
いじっていた。