次の日の朝、アデリナとヘラーはレニャとともに朝食をとった。


「迷惑をかけてごめんなさい、ヘラー」

「迷惑、とは言わないけど、早くご両親に手紙を送って、きちんと事情を説明するんだよ。いきなり帰りづらいというのはわかるし、すぐに出て行けとまでは言わないけど」

「わかってるわ。お父様もお母様も、きちんと話せば理解してくれると思うの。だけど、時間がかかるかもしれないし……」


 幼い頃から互いを知っている分、ヘラーとレニャは仲がいい。二人の間に流れる独特の空気を嫌と言うほど感じつつ、アデリナは黙々と食事を進めた。


「ねえアデリナ、今日はなにをする予定?」

「今日は……」


 いつもと同じ質問。アデリナは少し考えてからヘラーを見る。


「街に買い物に出かけます。以前からほしかったものがあって」

「それはいいね。帰ってきたらどんなものか、俺にも見せてくれる?」


 屈託のないヘラーの笑み。アデリナの胸がズキッと痛む。


「ええ、もちろん!」


 と彼女は笑った。