「本当に、私のことはどうかお気になさらないでください。具合が悪いといってもただ人に酔っただけですし、放っておけばおさまりますから」

「だとしても、一人になるのはやめてほしい。……君は気づいていなかったみたいだけど、さっきから会場中の男性がアデリナのことを見てるんだよ? 俺はずっと気が気じゃなかったんだから」

「え……?」


 すねたような表情で頬を真っ赤に染めるヘラーを見上げながら、アデリナの胸が熱くなる。


「もしかして、そんな理由で追いかけてきたんですか?」

「そうだよ。君が他の男を好きになったらすごく困る。絶対、嫌だから」

「……そんなこと、ありえませんよ」


 こんなにもヘラーのことが好きなのだ。よそ見なんてできっこない。
 アデリナが微笑むと、ヘラーは彼女のことをギュッと抱きしめるのだった。