(まさか、こんな形でこの町に帰って来る日が来るなんて思わなかったな)
馬車に揺られながら、リゼットは窓の外を見る。
王都とは違い、まばらに点在する家屋。緑豊かでのどかな町並みを見ながら「帰ってきた」と実感する。なにもかもが変わってしまったような、むしろなにも変わっていないような、奇妙な感覚を覚えた。
(けれど、これからどうしよう)
町を出たときリゼットはまだ子供で、孤児院が彼女の家だった。
しかし、彼女はもう大人で、孤児院に帰るわけにはいかない。他に行く宛だってない。これからどこに行けばいいのか、どうやって生活すればいいのか、ちっともわからないのだ。
「聖女様、到着しましたよ」
馬車が止まり、外から声がかけられる。リゼットが降りると、そこには見覚えのない立派な建物が立っていた。八年も経てば町並みは変わる。当然、リゼットが知らない建物だってたくさんできているだろう。
「ここは……?」
「あなたの新しい家です」
背後から声をかけられリゼットが振り向くと、そこにはテオがいた。あとから追いかけてきたのだろうか? 彼は汗だくになって息を切らしている。
馬車に揺られながら、リゼットは窓の外を見る。
王都とは違い、まばらに点在する家屋。緑豊かでのどかな町並みを見ながら「帰ってきた」と実感する。なにもかもが変わってしまったような、むしろなにも変わっていないような、奇妙な感覚を覚えた。
(けれど、これからどうしよう)
町を出たときリゼットはまだ子供で、孤児院が彼女の家だった。
しかし、彼女はもう大人で、孤児院に帰るわけにはいかない。他に行く宛だってない。これからどこに行けばいいのか、どうやって生活すればいいのか、ちっともわからないのだ。
「聖女様、到着しましたよ」
馬車が止まり、外から声がかけられる。リゼットが降りると、そこには見覚えのない立派な建物が立っていた。八年も経てば町並みは変わる。当然、リゼットが知らない建物だってたくさんできているだろう。
「ここは……?」
「あなたの新しい家です」
背後から声をかけられリゼットが振り向くと、そこにはテオがいた。あとから追いかけてきたのだろうか? 彼は汗だくになって息を切らしている。



