「やっぱり幼馴染っていいわね。そんなふうに言ってくれる人がいるだけで私は幸せものだと思うわ」
「幸せものって……まったくあなたという人は――もっと欲を持ってはいかがですか?」
呆れたように笑うテオ。二人はゆっくりと歩きはじめる。
(欲か……)
そんなもの、聖女に選ばれたときにすべて捨ててしまった。
リゼットが抱いていたのは、生まれ育った小さな町で、好きな人たちに囲まれて暮らすという平凡な夢だ。きらびやかな衣装も、富も名声もなにもいらない。ただただ、穏やかに暮らしたい。そんなささやかな願いでも、今のリゼットには叶わない。もしかしたら、一生叶わないままかもしれないが……。
「幸せものって……まったくあなたという人は――もっと欲を持ってはいかがですか?」
呆れたように笑うテオ。二人はゆっくりと歩きはじめる。
(欲か……)
そんなもの、聖女に選ばれたときにすべて捨ててしまった。
リゼットが抱いていたのは、生まれ育った小さな町で、好きな人たちに囲まれて暮らすという平凡な夢だ。きらびやかな衣装も、富も名声もなにもいらない。ただただ、穏やかに暮らしたい。そんなささやかな願いでも、今のリゼットには叶わない。もしかしたら、一生叶わないままかもしれないが……。



