「わたしも投資を勉強しとけばよかったな。そしたら、お父さまを介さずにブレディン様に資金援助ができたのに」

「……お嬢様に投資の才能があるとは思えませんね」

「知ってる。だから手を出してないんだよ」


 笑ったら、少しだけ元気が出てきた。

 現状を憂いても仕方がない。なにかきっと道はあるはずだもん。


「アイラ様に会いに行かれてみますか?」

「うん。そうしたいと思ってた」


 会って、アイラの気持ちを確かめてみなきゃ。……一応、最悪のパターン(偽装結婚)も想定して。


「では、そのように手配いたしましょう」


 アンセルはそう言うと、丁寧に頭を下げた。