「ひとつ確認なのですが」

「なに?」

「お嬢様がブレディン様との結婚を望まれることは?」

「ない! 絶対にない! わたしはカプ厨なの。ブレディン様単推しでもなければ夢女でもない。ブレディン様はアイラと一緒にいてこそって思っているし!」


 キャラ推しタイプの人なら『このキャラと……』って思うのかもしれないけど、わたしは少女漫画の民だから。少女漫画は基本カプ固定だし。ヒロインとヒーローは結ばれてこそって思うんだもん。ヒロインに転生したいとも思わないしね。


「そうですか」

「うん。だからね、もしも彼との結婚を回避できないなら、その前に自ら命を絶つ。だって、わたしにとってこれはアディショナルタイムみたいなものだし、ブレアイがわたしのせいで幸せになれないなんてダメだもん」

「物騒なことを……。では、そうならないように尽力いたしましょう」

「協力してくれるの?」


 尋ねると、アンセルはわたしのそばに跪く。それからわたしを見上げつつ「お嬢様の御心のままに」と目を細めた。