「お嬢様ならそうおっしゃると思ってました」
テーブルに色とりどりのスイーツが載ったティースタンドと、あんずの香りのする紅茶が並べられていく。先程のお茶会で食べ損ねたものだ。
「どうぞ」
「……いいの? アンセルがお父さまに怒られるんじゃない?」
「構いません。私はお嬢様の執事ですから」
アンセルが微笑む。わたしは思わずドキッとしてしまった。
(よく考えたら、アンセルってものすごいイケメン……っていうか、漫画映えしそうな執事よね)
艷やかな黒髪に神秘的な紫色の瞳、バカみたいに整った顔立ちをしていて、執事服がめちゃくちゃ似合っている。当然のようにハイスペックで文武両道、いつもわたしの思考を完璧に読み取って、やりたいようにやらせてくれる。漫画のキャラだって言われたらものすごくしっくりくるんだけど、脇キャラにしておくにはもったいない――それがわたしにとってのアンセルだ。
「あのさ……信じなくてもいいからわたしの話を聞いてくれる?」
「はい、なんでございましょう?」
「わたしね、前世の記憶を思い出したんだ」
それからわたしは、アンセルに自分のことを話して聞かせた。摩耶だったときのこと、この世界の話。漫画がなんなのかも描いて説明してみせた。それから、ブレディン様のことも。
テーブルに色とりどりのスイーツが載ったティースタンドと、あんずの香りのする紅茶が並べられていく。先程のお茶会で食べ損ねたものだ。
「どうぞ」
「……いいの? アンセルがお父さまに怒られるんじゃない?」
「構いません。私はお嬢様の執事ですから」
アンセルが微笑む。わたしは思わずドキッとしてしまった。
(よく考えたら、アンセルってものすごいイケメン……っていうか、漫画映えしそうな執事よね)
艷やかな黒髪に神秘的な紫色の瞳、バカみたいに整った顔立ちをしていて、執事服がめちゃくちゃ似合っている。当然のようにハイスペックで文武両道、いつもわたしの思考を完璧に読み取って、やりたいようにやらせてくれる。漫画のキャラだって言われたらものすごくしっくりくるんだけど、脇キャラにしておくにはもったいない――それがわたしにとってのアンセルだ。
「あのさ……信じなくてもいいからわたしの話を聞いてくれる?」
「はい、なんでございましょう?」
「わたしね、前世の記憶を思い出したんだ」
それからわたしは、アンセルに自分のことを話して聞かせた。摩耶だったときのこと、この世界の話。漫画がなんなのかも描いて説明してみせた。それから、ブレディン様のことも。



