それにしても、原作でこんな場面は見た覚えがない。もしかしたらこれって、お話の続きなんじゃなかろうか? 次号新展開って書いてあったし。だけど、わたしと一体なんの関係が……?
「マヤ、紹介しよう。彼はブレディン・グアダルーペ侯爵令息。お前の婚約者だよ」
わたしの隣でお父さまが微笑む。
「……は!?」
***
お父さまの嘘つき。ただのお茶会だって言ってたじゃん!
まさか婚約者を紹介する流れだなんて思ってなくて、わたしは大いにテンパってしまった。ブレディン様だって驚いていたし。こんなのってない。完全な騙し討ちだ。驚きすぎて、なんにも言葉が出てこなくて、早々に場を辞して部屋に引きこもってしまった。
(っていうか本気で無理)
だって、ブレディン様にはヒロインが――アイラがいるんだもの。二人は絶対に結ばれなきゃダメなんだもの。こんなところでポッと出の婚約者がでてくるなんてありえない。少女漫画はハッピーエンドじゃなきゃいけないのに!
「失礼します、お嬢様」
そのとき、部屋の外から声をかけられた。執事のアンセルだ。
「旦那様がお呼びです。ブレディン様ともう少し交流を深めるようにと。明日まで屋敷に滞在なさるので、それまでに……」
「いやだって言っといて」
こたえると、アンセルが部屋の中に入ってきた。
「マヤ、紹介しよう。彼はブレディン・グアダルーペ侯爵令息。お前の婚約者だよ」
わたしの隣でお父さまが微笑む。
「……は!?」
***
お父さまの嘘つき。ただのお茶会だって言ってたじゃん!
まさか婚約者を紹介する流れだなんて思ってなくて、わたしは大いにテンパってしまった。ブレディン様だって驚いていたし。こんなのってない。完全な騙し討ちだ。驚きすぎて、なんにも言葉が出てこなくて、早々に場を辞して部屋に引きこもってしまった。
(っていうか本気で無理)
だって、ブレディン様にはヒロインが――アイラがいるんだもの。二人は絶対に結ばれなきゃダメなんだもの。こんなところでポッと出の婚約者がでてくるなんてありえない。少女漫画はハッピーエンドじゃなきゃいけないのに!
「失礼します、お嬢様」
そのとき、部屋の外から声をかけられた。執事のアンセルだ。
「旦那様がお呼びです。ブレディン様ともう少し交流を深めるようにと。明日まで屋敷に滞在なさるので、それまでに……」
「いやだって言っといて」
こたえると、アンセルが部屋の中に入ってきた。



