そんなわたしを支えてくれたのは、大好きな少女漫画の存在だった。


 漫画の主人公たちはいつも活き活きと人生を楽しんでいた。学校生活だったり、夢や魔法の世界だったり、恋愛だったり……わたしが経験してみたくて、けれどできないことを教えてくれた。漫画はわたしの生きがいだった。


 けれど、わたしは病気に勝てなかった。
 若くして亡くなった摩耶は、マヤとして生まれ変わったらしい。

 ……いや、生まれ変わったというより、もしかしたらここはわたしにとっての天国なのかもしれない。


 だって、今目の前にいるのはブレディン・グアダルーペ様。摩耶が最終回まで見届けられなかった作品の――一番大好きだった漫画のヒーローなんだもの。


(生きててよかった! ……いや、死んでよかった?)


 ここが天国だろうが、なんなら作者様の頭の中だとしても一向に構わない。神様には感謝しなきゃならない。このお話の続きが読めなかったのはわたしにとって唯一の心残りだったのだから。