「ロミー、勘違いしているのは君のほうだよ」

「え?」


 アンベール様の発言にロミー様が首を傾げる。彼はロミー様を引き剥がすと、私の隣に並び立った。


「僕はラナのために彼女の恋人のふりをしたわけじゃない。僕は僕のために……彼女を他の男に渡したくなくて、恋人のふりをすることを提案したんだから」

「「え?」」


 私とロミー様の声がピタリと重なる。アンベール様は私の手を握ると、そっとこちらを見つめた。


「ラナの夢を守りたかったのは本当だ。真っすぐで、キラキラした理想を追い求める君のことが僕は大好きだったから。だけどそれ以上に、僕はラナが僕以外の誰かと結婚するのが嫌だった。だから、なんとしても婚約を回避したくて……」


 アンベール様の頬がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。


「嘘でしょう!? そんな!」


 とロミー様が声を上げた。