「おめでとうございます、アンベール様!」
「さすがです!」
「アンベール様に敵う人なんていらっしゃいませんわ」

(どうせ私は万年二位の女ですよ)


 アンベール様に声をかけてくる女の子たちの間をすり抜けながら、私は小さく自嘲する。


「あっ、待ってよラナ嬢」

「成績の確認は終わりましたもの。早く戻らないと」

「ああ、文官登用試験は来年だものね。今日も図書館に勉強に行くの?」


 私のあとを追いかけつつ、アンベール様はニコニコとほほえみ続けている。


(いいのかな。さっきの子たち、もっとアンベール様と話したそうにしてるんだけど……)


 若干の気まずさを覚えながら、私はその場に立ち止まった。


「いえ、今日は父と約束があるんです。私と話をするために王都に出てきているそうで」

「ラナ嬢のお父様が?」


 アンベール様はそう言って目を丸くする。