「妹がすまなかったね」


 エズメが部屋に戻ったあと、セヴランとアメリーは再びふたりきりで庭を歩きはじめた。


「いえ、そんな。私もいけなかったんです。きっと、ついつい指摘をしたくなるなにかがあったんだと思うので」


 おそろしいほどに肩を落とすセヴランが気の毒で、アメリーはつとめて明るく振る舞う。


「指摘をしたくなるなにか? ……そんなわけない。俺は君のすべてを愛しく思っているのに」

「え?」


 ギュッと優しく抱きしめられ、アメリーは思わず目を見開く。


「俺、アメリーのことが好きなんだ。……ずっとずっと好きだった」


 静寂のなか、互いの心臓の音がかすかに響く。アメリーは「はい」と返事をしながら、頬を真っ赤に染めた。


「妹とはあんなことになってしまったけど……どうか俺との将来を真剣に考えてもらえないだろうか?」


 セヴランが膝を折り、アメリーに向かって懇願する。至極真剣な表情。アメリーは驚きと喜びに瞳をうるませたあと「実は……」と話を切り出す。