「ようやくおまえの周りに人がいなくなった理由がわかったよ。全部自業自得じゃないか。聞いていて不快になるような言葉を口にする人間の側にどうしていたいと思う? 離れていって当然だろう?」

「不快な言葉? わたくしはアメリー様のためを思っていったのよ! 白い服ばかりじゃよくないと指摘したのは、周りにいい子ぶってるって思われないようにだし、神殿通いも偽善者認定されちゃかわいそうだからで……」

「誰もおまえにそんな役割を求めちゃいない。むしろ迷惑だ。だいたい、そんなことが言える立場じゃないだろう?」


 ピシャリとそう言い放たれ、エズメは顔をクシャクシャにする。


「それから、神殿に通って慈善活動をすることが偽善者だというなら、俺も偽善者だっていうことになる」

「え?」


 エズメが真っ青な顔でセヴランを見上げる。


「お兄様が? ご、ごめんなさい! わたくしそんなこと、知らなくって……」

「――おまえが謝るべき相手は俺じゃないだろう? それとも、お前の考えは相手が誰か次第でコロコロ変わるものなのか?」

「え? あ……あぁ……」


 エズメはセヴランとアメリーとを交互に見ながら唇をわななかせ――しばらくしたのち「すみませんでした、アメリー様」と消え入るような声でつぶやくのだった。