「エズメ様」


 そこにはひどく浮かない表情をしたエズメがいた。最後に会ったときよりも痩せただろうか? どことなく顔色も悪い感じがする。


「わたくし言ったでしょう? 『帰って』って。それなのに、どうして……」

「アメリーは俺が招待したんだよ」


 セヴランが言う。


「お兄様が……」


 エズメは弾かれたような表情で二人を見ると、眉間にグッとシワを寄せた。


「――ねえ、あなたも、あの女のお茶会に出席しているんでしょう?」

「え?」


 アメリーが首を傾げる。エズメはキッと目をつりあげた。


「フルール様よ! わたくしが思うに、あの女がわたくしからいろんなものを奪っていったの! もしかして、今夜わたくしの前に現れたのもあの女の差し金? わたくしのことを笑いに来たんでしょう! わたくしの周りに誰もいなくなって、いい気味だってみんなで笑っているんでしょう!?」


 エズメの瞳から涙がポロポロとこぼれ落ちる。