「お気持ちはありがたいのですが、エズメ様は私が出席しても喜ばないと思います。実は、少々いきちがいが生じていて。私が行くとかえって怒らせてしまうだろうし……」

「いや、妹のこともあるんだけど、そうじゃなくて……」


 セヴランが言う。随分と歯切れの悪い。
 アメリーが隣を見ると、セヴランは真っ赤になって目を泳がせる。それから、観念したようにアメリーを見つめ、彼女の手をぎゅっと握った。


「アメリーには俺の――パートナーとして出席してもらいたいんだ」

「え?」


 ドキン、ドキンとアメリーの心臓が大きく跳ねる。聞き間違いじゃなかろうか? ――そう思うが、手のひらからセヴランの熱が、想いが伝わってくる。


「わ……私でいいのでしょうか?」

「俺はアメリーがいいんだよ」


 セヴランは真剣な表情でそう言うと、アメリーの頬に手を伸ばす。まるで心臓を鷲掴みにされたかのよう。アメリーは思わずギュッと目をつぶる。


「当日……楽しみにしてるから」


 コツンと重なりあう二人の額。アメリーは泣き出しそうな、叫びだしそうな気持ちになりながら「はい」とつぶやくのだった。