「悪いことはしていない? 愚か者め! おまえはイミティアを忌み嫌い、常に冷たく接していただろう?」
「――――お言葉を返すようですが、己の婚約者と親しくしている女性に対して満面の笑みで接する女性も如何なものかと思いますわ。それではまるで、婚約者に魅力がないと言っているようなもの。下手をすれば、婚約を破棄されることを望んでいるかのようではございませんか。もしもわたくしがそのような対応をしていたなら、殿下もきっと、気分を害されたはずですわ」
おっしゃる通り。結局シュタインはレイラーニがなにをしても気に食わないだけなのである。
寧ろ、容姿も学力も武芸も平凡、身分だけが取り柄の彼のために、レイラーニは気にかけるような対応をしてくれたのだ。振りだとしても称賛に値するだろう。
(ホント、いつも思うけど、殿下の高ぇ自己評価ってどこから来てるんだ?)
ポジティブすぎて、逆に見習いたいぐらいだ。傍から見ていてこんなにも滑稽だというのに――――ベルクは思わず声を出さずに笑ってしまう。周囲の人間も、そっと目配せをしながら苦笑いを浮かべていた。
「――――お言葉を返すようですが、己の婚約者と親しくしている女性に対して満面の笑みで接する女性も如何なものかと思いますわ。それではまるで、婚約者に魅力がないと言っているようなもの。下手をすれば、婚約を破棄されることを望んでいるかのようではございませんか。もしもわたくしがそのような対応をしていたなら、殿下もきっと、気分を害されたはずですわ」
おっしゃる通り。結局シュタインはレイラーニがなにをしても気に食わないだけなのである。
寧ろ、容姿も学力も武芸も平凡、身分だけが取り柄の彼のために、レイラーニは気にかけるような対応をしてくれたのだ。振りだとしても称賛に値するだろう。
(ホント、いつも思うけど、殿下の高ぇ自己評価ってどこから来てるんだ?)
ポジティブすぎて、逆に見習いたいぐらいだ。傍から見ていてこんなにも滑稽だというのに――――ベルクは思わず声を出さずに笑ってしまう。周囲の人間も、そっと目配せをしながら苦笑いを浮かべていた。



