「あ……これ」

「俺のほうで保管しておいたんだ。いつか、取り戻したくなる日が来るんじゃないかと思って。おせっかいだったかな?」


 ゲイル様が優しく尋ねる。わたしはブンブンと首を横に振った。


「いいえ……いいえ! すみません、ゲイル様。わたし、あんなにひどいことをしたのに……」

「謝らなくていいよ。気持ちはわかる。俺だって自分が好きなもの、大切なものを横取りされたら嫌な気持ちになる。当然のことだ」


 ポンと頭を撫でられて、目頭がグッと熱くなる。

 ゲイル様はわたしに共感してくれた。わたしの大切なものを守ってくれた。


(わたし、ゲイル様が好き)


 穏やかな微笑みを見上げながら「ありがとうございます」と言葉にする。胸がとても熱くなった。