(自然に目が行くだなんて……ものすごい殺し文句だ!)


 本人無自覚みたいだけど、聞いてるこっちの心臓がもたない。


(だけど、ゲイル様に他意はないんだろうなぁ……)


 本当に、ごく自然に、誰かの喜ぶことをしてくれる人っていうだけで。それがわたしだからっていうわけじゃなくて。正義感が強くて、困っている人を放っておけなくて、誰にでもこんなふうに優しいんだってわかっている。わかっているんだけど。


(ゲイル様の特別になれたらいいのに)


 ちらりとゲイル様の横顔を見つめたら、彼はまたニコリと微笑んだ。


「最近はエミュリア嬢に真似されていない、よね?」

「ええ。ゲイル様のおかげで……彼女もわたしが購入したと周りが認知しているものを身につけるのはさすがに抵抗があるみたいで」


 エミュリアは本当にピタリとわたしの真似をやめた。おかげでわたしは、自分が心から好きだと思うものに囲まれて活き活きと生活できている。

 それから、エミュリアがわたしの真似をやめたことで、わかったことがひとつある。
 それは友人たちのなかにはエミュリアの習性――というか、わたしの想いに気づいていた子がいたらしいということだ。