「ゲイル様……あの、どうしてここに?」


 普通、生徒はこんな場所に来たりしない。なんなら、ゴミ捨て場が学園の敷地内にあることすら知らないだろう。だから、彼が自分の用事でここにいるとは考えづらい。わたしは思わず首を傾げた。


「ウィロウ嬢が教室を出るのを見かけて……心配でついてきたんだ。さっきから元気がなかっただろう?」


 彼はそう言ってそっと微笑む。わたしは思わず肩を落とした。


「えぇ? わたし、元気がないように見えました?」

「ああ。いつもあんなに元気なのに……しょんぼりと肩を落として、見ていてとても気の毒だった。どこに行くのだろうと気になり、思わず付いてきてしまったんだ」


 正義感の強いゲイル様のこと。困っている人を放っておけなかったのだろう。だけど、自分の様子を客観的に説明されると、なんだかすごくカッコ悪く思えてくるし、恥ずかしい。思わず頬に熱が集まった。
 

「ご心配をおかけしてすみません。不要になったものがあったので、こちらに捨てに来ていたのです」

「不要……?」


 彼は小さく首を傾げると、先程わたしが捨てたばかりの髪留めを手に取った。