(それにしても)
愛する人が手に入らなかったからといって、その子供に呪いをかけるなんて――件の魔女は本気でお父様を愛していたんだと思う。きっと、お父様に自分を覚えていてほしかったんだろうな。だって、呪いが続く限り、お父様は魔女のことを思い出すもの。
もちろんそれは、愛情というより憎しみから生じた行動だったのかもしれない。けれど、私を呪ったことで魔女だって当然命を落とした。自分の命をかけてまで誰かのために行動をするって、並大抵のことじゃないと思う。
「――ねえお父様、メレディスは今どうしているか知っている?」
ふと脳裏にメレディスの笑顔が浮かんできて、私はお父様に向かって尋ねる。
「メレディスかい? ……そうだね、彼は今も具合が悪いままらしい。ほとんど部屋にこもっているそうだよ」
「……そう」
あんなに明るくて朗らかだったメレディスが、彼らしさを失っているだなんて――私はキュッと唇を引き結んだ。
「もう……せっかく婚約破棄したんだから、私のことを引きずらなくたっていいのにね。本当に、メレディスは真面目で、優しくて……」
そんな彼だからこそ、私はすごく好きだった。誰かのために本気で親身になれる、責任感の強い人だった。
だからきっと、私との婚約破棄を決断したのは彼自身ではない。彼の両親や私の両親が彼が壊れてしまうのが嫌で、見かねて決めたことなんだろう。
愛する人が手に入らなかったからといって、その子供に呪いをかけるなんて――件の魔女は本気でお父様を愛していたんだと思う。きっと、お父様に自分を覚えていてほしかったんだろうな。だって、呪いが続く限り、お父様は魔女のことを思い出すもの。
もちろんそれは、愛情というより憎しみから生じた行動だったのかもしれない。けれど、私を呪ったことで魔女だって当然命を落とした。自分の命をかけてまで誰かのために行動をするって、並大抵のことじゃないと思う。
「――ねえお父様、メレディスは今どうしているか知っている?」
ふと脳裏にメレディスの笑顔が浮かんできて、私はお父様に向かって尋ねる。
「メレディスかい? ……そうだね、彼は今も具合が悪いままらしい。ほとんど部屋にこもっているそうだよ」
「……そう」
あんなに明るくて朗らかだったメレディスが、彼らしさを失っているだなんて――私はキュッと唇を引き結んだ。
「もう……せっかく婚約破棄したんだから、私のことを引きずらなくたっていいのにね。本当に、メレディスは真面目で、優しくて……」
そんな彼だからこそ、私はすごく好きだった。誰かのために本気で親身になれる、責任感の強い人だった。
だからきっと、私との婚約破棄を決断したのは彼自身ではない。彼の両親や私の両親が彼が壊れてしまうのが嫌で、見かねて決めたことなんだろう。



