(一体どうしたらいいんだろう?)


 国中から人を募ってみたところで、結果はきっと同じだろう。自室で膝を抱えつつ、私は思わず涙ぐむ。


(そもそも、心から愛するってどういうことよ?)


 『愛している』と言葉にすることは簡単だ。言葉を覚えはじめたばかりの子供にだってできてしまう。
 けれどそれは、人によって基準も、大きさだって違うことだ。それに、自分では愛していると思っていても、他人から見ればそうじゃないことだってあると思う。

 そう考えれば、夜会で会った人たちの誰かと結婚したとして、私が助かる可能性だってあるのかもしれない。もしかしたら、彼らは私のことを心から愛してくれるのかも。


(だけど……)

「オウレディア、少しいいかい?」

「お父様」


 ノックのあと、お父様が部屋へと入ってくる。


「どうだい? いい結婚相手は見つかりそうかい?」


 そう尋ねるお父様の表情は辛そうだった。本当は「ええ」とこたえてあげられたらいいんだけど、私は首を横に振る。


「そうか。……すまない」

「謝らないでよ。お父様が悪いわけじゃない。悪いのは私に呪いをかけた魔女なんだから」


 無理やり笑顔を浮かべたら、お父様はほんのりと涙ぐんだ。