「オウレディア殿下にお目にかかれて光栄です」

「なんとお美しい」

「ぜひとも私と踊ってください」


 父の言葉どおり、私はとにかくたくさんの男性と話をした。何人も、何十人も、おそらくその数は百人以上。連日連夜踊りっぱなしで、足が傷だらけになってしまったけど、それでも私はめげなかった。このなかにきっと、私のことを愛してくれる人がいるって、そう信じて。


「え? 僕が愛さなければ殿下が死んでしまう? 大丈夫ですよ! ちゃんと愛しますから」

「殿下を心から愛します。なんの心配もいりません!」

「私は殿下のことを愛しています!」

(あぁ……ダメだ。これ、死んじゃうやつだ)


 彼らは私の事情を知っても逃げたりしなかった。むしろ、私を愛すると約束してくれた。けれど、約束をしてくれればしてくれるほど、私の不安は募るばかりだった。