「正直言って難しいと思うのよね。貴族ならみんな、私がメレディスと婚約していたことを知っているのだし、まごうことなき政略結婚でお相手を心から愛せると最初から約束するなんて……」

「愛してもらわないと困る。だからこそ、それが可能な男性を探しているんだ」


 お父様はそう言って、私の頭をポンポンと撫でる。憂いを帯びた表情に、私まで胸が苦しくなった。


 その日の内に十五人の男性と会い、お父様と話し合って十人を候補者として残すことにした。

 けれど、以降はこちらから呼び出すのではなく、男性側からのアプローチを待つ。それが相手の熱意をはかる指標になるからだ。


「オウレディア様に一目お目にかかりたくて」

「プレゼントをお持ちしました。どうか、受け取っていただけませんか?」

「殿下と出かける栄誉をいただきたく……」


 相手の本気度はほんの一ヶ月もあれば判断ができる。あっという間に、候補者は三人に絞られていた。


「オウレディアは三人の中なら誰が一番好みなんだ?」

「そうね……ジェイル・トンプソンが一番かしら。彼なら私のことを大事にしてくれそう」


 三人は頻繁に登城し、私と会話を重ねている。なかでも、一番熱心なのが侯爵令息のジェイルだった。