私の名前は鈴木奈々!
…といってもこれは偽名。
本当の名前は葵恋。
「ん…」
視界に光が差し込む。
「奈々!起きて!」
お姉ちゃんに起こされて、顔を洗う。
そして着替える。
「ふぁ…今日は何するの」
「畑を耕して、羊に餌をあげるだけ!」
「おけ」
こんな幸せな日々がずっと続くと思ったのに…。



「みんな大変だ!」
「どうしたんだ?」
「魔王軍がこの村へやってくるぞ!」
「えぇっ!!」
魔王軍がやってくる2日前に私は姉御に聞いてみた。
「ねぇ姉御、どうして魔王軍がやってくるの?」
「それはね、魔王様の息子様、魔王子様の結婚相手を探すためらしいよ」
「へぇー」
「でもね、怖いことに。結婚相手が見つからなかった村は皆殺されちゃうのよ…」
「えっ…」
私は思わず大きな声を出してしまった。
「シィー!!もう近くに魔王軍が潜んでいるかもしれないわよ…」
そ…そうだったんだ…。
だから皆静かだったんだー……。
そして日がたち…。
とうとう魔王が攻撃を仕掛けるときになった…