幼なじみに恋をしている。
穏やかに笑う、可愛いアイツへの気持ちを抑えきれなくて、もう一人の幼なじみにそのことを伝えた。
コイツは俺にとって悪友みたいな奴で、なんでも話せる関係だった。
内容が恋愛相談というのは気恥ずかしいけれど、毎日可愛くなっていくアイツの話は止められなかった。
だけどある日、俺とその悪友が付き合っているなんて噂が広まりだし、これはマズいと悪友と顔を見合わせることになる。
アイツの耳に入るまでに、明日には訂正をしないと…そう、思っていたのに。
三人で帰る道すがら口を開いたアイツは、嘘っぱちの噂を信じて泣いていた。
ポタポタと地面に落ちていく涙に、俺の体が石のように固まる。
早く“違う”と言わないと。
そう思えば思うほど、息が詰まって声が出ない。
好きな奴の涙が、こんなにも心をかき乱すなんて知らなかった。
ゴクリとツバを飲み込んだとき、ずっと隣にいた悪友から頭をひっぱたかれる。
その拍子に一歩前に出た足。
勇気づけられるように、その勢いのまま俺は間違いを訂正した。
「その噂、嘘だから…!」
___俺が好きなのは、お前だけだから!



