あなたなんかいなくても

珍しく今日はみんなが揃ってる。
やっぱりみんなは『自分が、自分が!』って思ってるんだろうなぁ。  
関係ない私まで気になってきた。
知らなかったのは私だけだったのか?

この緊張の中、室長が手招きしてる。
席に呼ばれた。
今じゃ無くても良いんじゃないの。
余計なことを今言わなくても廻りをいらつかせるだけなのに。
「西桐さん、今日から専務の第二秘書と辞令が出たから。鈴木さんから高梨さんへの引き続きはほぼ終わってるから、君も高梨さんから引き続きよろしく」
なぜ私?
室長は、ぼそぼそと言い終わると何も無かったように自分の仕事モードに戻った。
女性陣からの冷たい視線、一際冷たい視線で麗子が睨んでる。
何も悪いことしてないのに…、逃げるように専務室に行くことになった。