あなたなんかいなくても

「西桐さん、たぶん私が専務の第二秘書になるから」と、突然の麗子の言葉に驚いた。
もちろん誰かがなるだろうけど、私たちまだ半年でしょ。
「パパが人事部長なの知ってるんでしょ」
えっ、そうなの?
「あなた、まさか知らなかったの?」
すっごく呆れた顔で睨まれた?
「第二秘書の高梨さんが第一秘書になって私が第二秘書になるの。パパからもおねがいしてもらってるから」
そっかぁ。
私には関係ないけど、専務は人気があるから社長や副社長の秘書の方、それにまだ専属じゃない人なんかはがっかりするだろうなぁ。
「専務の秘書になって、公私共に…、ね」
やっぱり部長の娘は考えることが違うなぁ。
専務は社長の息子、御曹司なんだから、私にとっては夢のようなお話しだな。

そんな呑気な事を考えてたら、午後からとんでもないことが起こった。