あなたなんかいなくても

『よ~い、どん』
キリン組さんは3歳児クラスだから午前中に演目があったからお父さんもたくさんいる。
若くて速そうな人ばかり。
それに引き換えぞう組さんはお母さんも混じっている。

1人目から4番手。
4人目の湊が1人で走ることにならないように祈るばかり。

ほぼキリン組さんと一周遅れで通過するとき、
「お父さん、頑張って!」
星空が大きな声で叫んだ。
一瞬、時が止まったような気がした。
たぶん湊と目が合ったと思う。

いつの間にか、後ろに両親が来ていた。
「良かったな」
父が言った。
母は目を真っ赤にして頷いている。

結果、湊は2人も抜いて2等賞。
さすがにキリン組さんには追いつかなかったけれども頑張ってくれた。

湊は撮影席に座って俯いてる。
高梨さんにいじられてるのか、たぶん泣いている。

「お弁当は湊さんと食べなさい。私達は帰るから」
持ってきたお弁当を置いて、両親は帰っていった。
あんなにマーチング、楽しみにしてたのに。