あなたなんかいなくても

保育園に着くと星空が走ってきた。
「兄さんの…」
星空も初めての颯太をじっと見て「おじさん?」
やっぱり湊と似てるのかな。

気がつけば、後ろに菜摘がいた。
「佳乃子、守秘義務とか言って何も話してくれなかったのはそういう事?」
守秘義務とも言ってないし、そういう事って?
「颯太のこと知ってて、子供生んで、知らなかったの私だけなんだ!二人で私のこと笑ってたんでしょ
颯太だって私の気持ち、知ってて…」
違う。颯太の子供じゃない。
言おうとしたとき、颯太は『黙って』って人差し指を口に当てた。
もしかして私が退職した時から疑ってたの?
言うだけ言って、行ってしまった。

「ごめんね、佳乃子を悪者にして
今は誰とも付き合えないって言ったんだ
母さんを突き放すことは出来ないから」

「颯太はそれでいいの?」

「今は母さんが一番
だから兄さんのこと、よろしく」