あなたなんかいなくても

暫く話してたら、星空が眠そうにしている。
「坊や、お母さん取ってごめんね。またね」

「ぼうやちゃう。かなた」

「そうか、かなた君、ばいばい」
おばあさんは星空がひ孫だって分かっているのかな?
でもこれで公園に来るのにドキドキしなくてもいい。

平日は星空と一緒に仕事に行って週末は実家に帰って公園へ、親子のルーティンが出来ていた。

「ばあちゃ、ないね」
「そだね。おばあさん来てないね」
少し会っただけなのによく覚えてるな。
何か感じる物があるのかなぁ。

星空が一人でシーソーに乗っていた。
お尻を浮かせながら、口で『ぎったんばっこん』言っている。
そこに誰かが近付いてきた。
「湊…」

「坊や、一人で乗ってるの?」
「ぼうやちゃう、かなた!」
おばあさんと同じ会話をしている。

「そっか、星空君、一緒に乗ってもいい?」
人見知りをしない星空は知らないおじさんなのに平気で「良いよ」なんて言っている。

どうして来たの?
まさか『東堂家』のように、いや星空を奪いに来たんじゃ…。
「星空、帰るよ!」
連れて行かれてなるものか!
湊と湊の奥さんに星空を渡すわけにはいかない。
父親が湊だってバレるわけにはいかないから。