あなたなんかいなくても

年明け、新しい職場でスタートをした。
三階建てで、1階は駐車場、2階は事務所で3階は自宅といった個人事務所。
『コンフェクショナリー藤澤』とは規模は違うが暖かい空気が流れてる。

秘書だって1年もやってない社会人の新人が税理士事務所なんて迷惑をかけると思う。
でも今は一生懸命やるしか無い。
「今日からお世話になります、西桐佳乃子です。
一から教えてもらわないと分からないことばかりだと思いますがよろしくお願いします」

先生二人とパートの方が一人。
「良かった、ようやく来てくれたのね
私は橘樹由佳。
ほんとは週3なんだけど、あなたが来るまで週5だったの」
なんか凄く喜んでくれてる。
先生二人はただニコニコしている。

橘樹さんは仕事も雑用も丁寧に教えてくれる。
仕事も少しずつ覚えて、張り詰めていた緊張が少し無くなった頃、体調を崩した。
崩すといっても、少しの微熱だからたいしたことはないのに、
「お医者さんに行ったら?」と、橘樹さんに言われた。
「私は経験者じゃないから分からないけど、お薬は飲まない方が良いと思うよ」と。