あなたなんかいなくても

ホテルのエントランスに車を停めて、
「レストラン予約してあるんだけど、先に荷物を置いてくる?
部屋も一緒に予約したんだけど…、」

食事の時間はまだ早いから、とりあえずチェックインして荷物を置きに。
部屋に入ると直ぐに抱きしめられた。
「ごめん…、必ず迎えに行くから」

時間まで何も話さないでベッドに腰掛け、じっと待ってすごした。
予約の時間になっても言葉が出ない。
楽しみにしていたクリスマスディナーがお通夜のような食事になった。

「初めてなの…」
今まではハグ止まりで、キスももちろんそれ以上も未経験。
三ヶ月足らずでこんなに好きになるなんて思わなかった。
初めては湊以外なんて考えられないし、この先のことなんてもっと考えられない。
だから今日で終わりだと思うと、ありったけの勇気を出して言ってみた。
「それに今日は絶対に大丈夫な日だから…、付けないでほしいの。湊を直接感じたい…」

「それは…」
「心配なら、必ずアフターピルだって必ず飲むから」
もうやけくそだ。
「なら湊を忘れないうちに迎えに来て」
そこからはお互い言葉が無かった。

朝まで一緒に過ごし、送ると言ったのを断りタクシーで帰った。