あなたなんかいなくても

金曜日、最後の出勤日。
あとは有給消化で年内いっぱいで退職。
大きなバックに持ち帰る物を詰めている。
お泊まりセットも持ってきた。
その事を話すと湊は驚いた。
デスクの上の書類をぶちまけて、
「何やってんの」、敬語じゃ無い高梨さんから冷たい目で見られてた。

秘書課のみんなは私が退職することよりも専務の第二秘書の座が気になるらしい。
菜摘にも辞めることは話したけど、退職理由は誰からも聞かれなかった。

5時になり、みんなに挨拶して会社を出た。
呆気なかったなぁ。
誰からも愛されてなかったような気がした。
早くここを辞めて良かったのかも知れない。

駐車場ではすでに湊が待っていた。
「お疲れ様、あと…、ごめん」
この『ごめん』は何に対してなのか…、考えることはやめにした。