あなたなんかいなくても

今年もクリスマスシーズンがやって来た。
恋人と過ごすクリスマスなんて初めてでどうして良いか分からない。
それに専務…、湊さんとの事は会社では内緒にしてるから誰にも話せない。

そんなある日、久しぶりに菜摘から連絡が来た。
話したいことがあるから、たまにはご飯に行こうと。

公私共に話せることがあまりない。
うっかり喋ってしまったら大変だから、お酒のある席はなるべく避けていた。
だから菜摘とも久しぶり。
とりあえず乾杯して、
「佳乃子、今専務の秘書なんだよね。どうなった?」
菜摘が突然話し出した。
どうなったとは?

「こないだの颯太のミス…、て言ってもほんとは営業部長がやらかしたんだけど、なすりつけちゃって、で何故か専務が責任取るみたいな事があって…、話が上の方にいったから詳しくはよく分かんないの。
颯太も何も言ってくれないし、気になって…、」
バタバタしてるけど、それはいつものこと。

「知らない…、」

「やっぱり守秘義務ってやつ?」
ほんとに何も聞かされてない。

菜摘にほんとの事を話せないのは辛いけど、湊が何も話してくれてないのはもっと辛い。

その後は、あまり記憶が無いけど適当に相づちを打って別れたと思う。