決断してからは早かった。

両親にお願いして、ダンススクールに通わせてもらう。

自分磨きも忘れなかった。

小学校を卒業してすぐ、アイドルの事務所のオーディションを手当たり次第受けた。

もちろん海斗には内緒で。

その中で彼の最推しのグループが所属している事務所に合格することができた。

私が海斗に振り向いてもらおうと頑張っているとき、彼はドルオタの道を突き進んでいた。

自分の容姿より推しに時間をかけたい彼は、整った顔を長い前髪が隠してしまっているし、ファッションセンスも皆無だ。

おかげで海斗はあまり女子から人気がない。

一人でもライバルを減らしたい私にはとても嬉しいことだった。

現実で彼と親しい女子は私だけ。

それがとても心地よかった。小学生の時、海斗と私はいつも一緒だった。

登下校は一緒で、放課後もダンススクールがない日は一緒に過ごす。

そんな毎日が中学生になり変化することになる。