―あれから2年、中3の春。

「依飛(イト)依飛依飛依飛依――飛――!」

「…何?みゆ」



わたしは2年前の入学式、声をかけた少年・松山 依飛(マツヤマ イト)に恋をしていた。



「英語の課題提出期限一週間過ぎてたー」

「またかよ」

呆れながらも筆箱からペンを取り出す依飛。

「はー…しゃーねぇ教えてやるよ」

「やったぁ!!ありがとう依飛っ」



今のわたしの席は依飛のすぐ後ろ。
椅子に座った依飛がこちらに体を向ける。

「で、どこだよわかんないの」

「こことこことこことここ?つーか全部?」

「は!?マジで言っちゃってる!!?」

「…うん」


ため息をつきながらもシャープペンをノックして芯を出す依飛。


そんなところが、堪らなく、すき。