初めての恋のお相手は

その発言の意図が分からず
疑問の表情を浮かべる私。


それを追求する前に



「…」



――……一瞬だった。



自分の額に触れた柔らかい感触。



「…」



すぐに私から離れた祠堂さんは
ぽかんとする私を見て、口許を緩ませる。



「お礼のお礼にしては、 貰いすぎね
ごめんなさい」



少しだけ、いたずらっ子のような口調で言う。



私は、祠堂さんの唇が触れた額に手を置いて



楽しげに笑う祠堂さんを見つめて




それから




「~~~~っ!?!!」




声にならない悲鳴を上げる。


バスの窓に映る自分は、全身真っ赤で
動揺と恥ずかしさでいっぱいの表情を浮かべていた。


ぱくぱく口を開け閉めし
潤んだ瞳で訴えるように、祠堂さんを見つめれば


祠堂さんは、目を丸くした後
ふっと、笑みをこぼす。



「ふ、ふふ…っ
だめだわ。反応がかわいすぎて…」

「!?」



かわいいの一言に、私の体温はさらに上がる。

祠堂さんはお腹を抱えながら
必死に笑いを堪えてる。



「……そんな、かわいい反応見せられたら
いじめたくなるじゃない」



ちらりと私を見て



「はー…本当、楸は純粋で、初々しくて困るわ」



ため息をついて
祠堂さんは、困ったように笑う。



「…」



……困るのはこっちの方だ。



「フリ」なのに…
まるで、本当の恋人かのように触れないで欲しい。


そんな…


愛おしそうに見ないで欲しい。


勘違いしてしまいそうになる。


あるはずもないのに
同じ気持ちなんじゃないかって、思ってしまう。