初めての恋のお相手は

「…ごめんなさいね、楸
連れが失礼なことして」

「…」

「……楸?」



祠堂さんは申し訳なさそうに言いながら
私を振り返る。


だけど、無言で固まる私を見て
訝(いぶか)るように、首を傾げた。



「あ、祠堂さん、いらっしゃい
…って、楸ちゃん?」



私の後ろから現れたこゆさんが
祠堂さんに気付いて声をかける。


それから、様子のおかしい私を見て


状況を把握するように周囲を見渡して
こゆさんの視線が、ひとりの男性に留まる。



「……すーぐーるーぅ?」

「お~、こゆ、来たぜ
……って、なんで怒ってんの?」

「楸ちゃんに…この子に何したの?」

「へ?別になんも
ちょっと目の保養に見てただけ」

「おばか!」

「痛っ!!なんだよ…!!?」

「スグリ、傑を上に連れてって」



のほほんとした返答に、大層ご立腹のこゆさんは
その人を一喝すると
そばにいたスグリさんに指示をする。


無言でやりとりを眺めていたスグリさんは
男の人に対して、呆れたようなため息を向けると

そのまま

こゆさんに言われた通り
その人を連れて、去っていた。